骨折は年齢によって発生部位や頻度が大きく異なります。幼児期、小児期の骨折には、骨が折れやすい;骨癒合(骨折が治ること)が成人に比較してはやい; 多少の変形に対して、骨は自家矯正力がある などの特徴があります。 成人の骨は強固なので、交通事故や転落などで大きな外力がかかったときに骨折が発生します。高齢者では軽微な外力な力でも発生します。骨が加齢とともに脆弱化していくからです。したがって、高齢者は転倒しないように注意することが必要です。
 骨折の治療には、骨折の整復(できるだけ元の形態に戻すこと)、骨折の固定(ギプスやシャーレ、または手術の際に使用される金属による内固定材料)、後療法という3つの治療原則が必要です。治療方法は骨折の部位と程度で異なります。
 脱臼は大きな外力がかかって関節の適合性が失われる状態です。「肩がはずれた」といわれる状態が代表的な脱臼です。脱臼は肩関節、肩鎖関節、指節関節に多く発生します。すみやかに、しかも愛護的に整復することが重要です。整復の際は痛みをおさえて、筋肉を弛緩させた状態でおこなわなければならないこともあります。
 
     
   
     

 

 多くの患者様が腰痛あるいは腰部由来の下肢痛、頚部痛あるいは頚部由来の上肢痛のために来院されます。問診、身体所見、レントゲン検査で多くの場合は診断が可能です。症状の原因は脊椎骨、椎間板、神経、筋肉、筋膜、靭帯付着部と多岐にわたりますので、治療方法の選択も原因に応じて異なった方法が選択されます。したがって、正確な病態の把握と診断が重要です。また、診断が難しい場合はMRI検査が非常に有効な領域です。一般的な治療としては、姿勢や動作の注意、適切な運動訓練、消炎鎮痛剤の服用、温熱療法や牽引療法があり、これらを適切に組み合わせていくことになります。

 
   
 
   
   膝関節を構成する軟骨、骨が長い時間をかけて変性をきたし、疼痛、腫脹、変形が生じる疾患です。変性の程度や疼痛の程度は幅が広く、ひとりひとりの患者様によって異なります。日本人の場合は膝の内側を中心に変性が生じることが多く、進行した場合はいわゆるO脚を呈します。治療は痛みを緩和しながら、姿勢と動作の注意をしていく事と運動療法が主なものになります。また、痛みのある膝の変形の程度に応じて足底板が有効であることも多く、当院ではこの足底板による治療を積極的に行っています。正座やしゃがみこみなど、膝を深く曲げる姿勢は膝にとって負担がかかるので控えるべきです。また、膝は全体重がかかる荷重関節であるため、肥満による体重超過は症状の増悪に結びつきますので注意が必要です。ヒアルロン酸の関節内注射が有効であることが国内外の臨床研究や調査で明らかにされています。保存治療が効果がない場合や進行例では、手術が適応になることがあります。現在のところ、人工膝関節置換術がもっとも一般的に行われます。
   
 
   
   肩関節の疼痛と可動域制限が特徴的な症状です。中年以降とくに50歳前後から発症するものをいわゆる五十肩と呼んでいます。 疼痛は運動時のみならず、安静時とくに夜間の就眠時痛が特徴的です。治療は痛みを緩和しながらリハビリテーションをしていくことが中心になります。痛みの性状、程度に応じて安静、消炎鎮痛剤、注射療法(ヒアルロン酸の注射または局所麻酔剤とステロイド剤の混合液)を使い分けて疼痛が軽減すると、運動療法をおこないます。温熱療法(ホットパックなど)のあとに可動域訓練をおこなうと効果的です。また、自宅では入浴後に仰向けになって可動域訓練ができますので、その方法は整形外科医師に相談ください。
   
 
   
   このホームページの「関節リウマチについて」のページをご覧ください。
   
 
   
   詳しくは、「骨の健康とリハビリテーション」のページをご覧ください。本格的な高齢化社会を迎えて、骨粗鬆症の予防と治療が重要になってきています。適切な骨粗鬆症の評価をもとに、患者様ひとりひとりに合った方法で骨の健康を見守っていきたいと思います。骨粗鬆症の治療には継続性が大切です。10年後、20年後のために備えていきましょう。
   
 
   
   この20年間でスポーツ人口がいろいろな世代で増加しました。そのため、スポーツによる障害は多岐にわたります。多くのスポーツ障害は、理にかなったリハビリテーションで克服することが可能です。また、再発予防には競技種目、競技レベルに応じた神経・筋協調エクササイズが効果的です。ひとりひとりの患者さまといっしょにメニューを考えていきたいと思います。また、手術が必要なときや手術を受けるべきかどうかの相談を希望される場合は、スポーツ整形外科手術の専門医が勤務する病院を紹介させていただきますので、安心して受診ください。
 また、私自身は日本体育協会の公認スポーツドクターとして特に青少年のスポーツ障害の診療、現場のドクター活動に携わってまいりました。成長期のスポーツ選手は成長期独特の下肢、上肢障害と腰痛が発生しやすく、正確な診断と適切な管理が必要です。また、成人になると(大学生以降)、急に筋腱の弾力性が低下するため注意事項が成長期の頃と変わってきます。痛みがなかなか改善しないなど困っている場合は年齢、種目に応じた助言ができると思いますので、一度受診ください。

平成10年  冬季オリンピック 長野大会 大会ドクターに従事
平成17年  国民体育大会 兵庫県のじぎく大会 大会ドクターに従事
兵庫県体育協会 医科学委員 (アイスホッケー)